老化とホルモン2
老化には様々な原因がありますがホルモン低下も重要な要素です。
加齢に伴いホルモンが低下してきて老化してくる、ではなくホルモン低下により体に変化を起こしその結果、老化してくるのです。以前のブログにも書いたことはありますが。
加齢に伴いホルモン値が低下してきます。
検査結果は正常、異常の二つですが、正常にも基準値と最適値があります。
基準値は標準治療が目指す値、最適値は予防医学が目指す値です。
いつまでも若々しく、という方が目指すのはまさに最適値(オプティマルレンジ)なのです。
例えば明らかな甲状腺機能低下の症状を呈している場合は、病院でチラージンを処方され血液検査でTSHが4~5であれば良しとします。これが治療(=保険診療)です。しかし予防医療、エイジングケアの領域ではTSH0.5~1.0を目指しホルモンを補充します。
さてホルモンの種類ですが最適化すべきホルモンとして、成長ホルモン、メラトニン、甲状腺ホルモン、副腎ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンがあります。何らかの症状のある人、ない人もまずは血液検査や唾液検査をしてホルモンを測定し最適値まで補充してはいかがでしょうか。
人間の体には時計があり時間帯によってホルモンのピークは異なり、それぞれ日内変動があります。加齢とともに減少していくのが普通ですが、個人差があります。
成長ホルモンは体を成長させるホルモンですが20歳以降は修復・再生ホルモンとなります。入眠直後の90分がピークになりますので最初の周期の睡眠が重要です。睡眠に関するメラトニンは10代がピークで40代以降減少します。10代の若者は運動で疲れてぐっすり眠れますが、おっさんになるといくら疲れても熟睡できないのはメラトニン不足もありそうです。メラトニンは眠前1時間に飲むのが良いのですが、日中飲むとリズムを崩してしまいかえって不眠になりますのでご注意を。
甲状腺機能が低下すると何となくしんどくなります。甲状腺ホルモンはT4からT3に変換され始めて機能するのですが、この変換にプロゲステロン、セレンが重要です。これらが不足するといくらチラージンを内服しても効果が期待できないのです。
特に大切なのが副腎です。副腎は両側腎臓の上にある数グラムの臓器ですがストレス反応に対処する重要な臓器です。コルチゾール、アルドステロン、アドレナリン、DHEA の4つがあり、DHEA 以外は闘うホルモン(ストレスホルモン)です。
DHEAは約50種類のホルモンに変化するマザーホルモンといわれる抗ストレスホルモンです。体内年齢の重要な指標でもあります。通常ではストレスホルモンと抗ストレスホルモンがバランスよく作られるのですが、ストレスが加わり過ぎると、ストレスホルモン産生ばかりとなりDHEAが少なくなります。
真面目な人が頑張りすぎると、慢性的に疲れている、興味がわかない、決断できない、不眠といった症状になります。副腎疲労症候群の症状です。普段からDHEAを補充し最適値にしておくことが予防となります。
性ホルモンです。男性ホルモン(遊離テストステロン)は40半ばでピークの半分となります。低下すると活力だけでなく、認知能力や循環器疾患にも関係してきます。内臓脂肪面積とも関連しており、メタボの人が食事や運動で効果が得られない時はテストステロンの補充が必要になる場合があります。分泌のピークは朝ですので、天然型テストステロンクリームを手に塗ります。保険診療では注射しかありませんが結構副作用が多いです。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあります。エストロゲンE2は40半ばで35%低下するのに対してプロゲステロンは75%低下するといわれています。この低下の差が体調不良の原因となります。補充する際はエストロゲンが朝、プロゲステロンは夜がよいとされています。
ホルモン補充はいつからすべきか?60手前になると体中のホルモンはすっかり下がってしまい見た目の老化も出てきます。ホルモン低下が顕著になる手前、できれば40半ばから考えられると良いと思います。