熱がでました
発熱のみで来られる患者さんが時々おられます。残念ながら発熱のパターンや症状だけでコロナかどうかはわかりません。症状がでて2日目以降、抗原検査をして陰性であればコロナはまず否定的です。
一般的にどこかが痛くて発熱を伴えば、そこからの熱と考えます。喉が痛いなら急性咽頭炎や急性扁桃炎。お腹が痛ければ憩室炎や虫垂炎、胆道感染といったお腹の炎症を考えます。
よくわからない場合でも体を見渡して例えば足の一部が腫れていて痛みを伴えばその部分の蜂窩織炎や、膝関節が腫れていれば感染性関節炎などがあります。
発熱のみで、どこも痛くない場合は全身の検査が必要です。
でもその前に。7~9月にかけて多いのが食中毒です。カンピロバクター腸炎は教科書的には、生肉の摂食後3~7日の潜伏期を経て嘔吐・下痢・腹痛。重症の場合には悪寒・発熱など全身症状を伴う、とされています。ただし実際に患者さんを診ると、まず熱だけで来院される場合もあります。どこも痛くありません。問診で「生の肉を食べましたか」、と聞いてもはっきりしません。私の聞き方が悪いのでしょうが。
患者さんには一応食中毒の可能性もお話しします。「食中毒の場合、今日か明日から腹痛・下痢など出てくると思います。ひどい場合にはまた来てくださいね。」といって解熱剤だけ処方して帰ってもらいます。
結構当たる確率が高く、翌日以降下痢・腹痛で来られます。再度お話をお聞きして思い出してもらうと、数日前に「鳥刺し食べました」と言われます。9月は結構多かった印象があります。皆さん鳥刺しをよく食べられるのですね。
食中毒ではカンピロバクター、サルモネラが代表的です。ほとんどの場合、発熱しても、下痢・腹痛がひどくても勝手に治ることがほとんどです。重症の場合は入院して安静、点滴が必要です。ただしまれなケースですが、カンピロバクター感染後しばらくして手足の筋力が低下してくるギランバレー症候群という病気を合併することがあるので注意は必要です。
鳥刺しの好きな方は十分注意?して食べてください。
コロナ禍でマスクをしてソーシャルディスタンスを保つことは重要ですが、口から入るものにも十分気を付けてください。