動悸がします
「動悸」とは、普通では自覚されない心臓の拍動やその乱れを自覚することをいいます。
緊張した時、ヒヤッとした時などに自分の鼓動を感じることはよくあります。これは交感神経が緊張するために起こる正常の反応です。
そうではなくて朝からドキドキする、常に脈が速い、脈が飛ぶ感じがする、は病的な動悸です。自分の脈は、右手の中指で左手の手首を触るとわかります。自分の安静時の1分間の脈拍を測ってみてください。概ね60回から90回程度です。
動悸で来られる患者さんで、来院時に症状がない場合は以下のように説明します。
まず動悸を感じた時に自分の脈を見てください。(予め脈の診かたを説明したうえで)
普段と変わりなければ気のせいです。
安静にしていて1分間に110以上であればおかしいです。何らかの原因で血圧が上がっているかもしれないし、息切れやむくみがあるなら心不全のこともあります。また甲状腺の病気の場合もあります。胸の痛みを伴う場合は危険ですのですぐ連絡ください。
脈拍数にかかわらず脈がバラバラに打つ場合は要注意です。心房細動といって脳梗塞の原因となる不整脈があります。この場合、血をサラサラにする治療が必要となってきます。
また安静時1分間に150回程度のさらに速い脈であれば明らかに頻脈性の不整脈です。放っておくと心臓に負担がかかり心不全になることがあります。
脈がバラバラあるいは明らかに速い場合は早めに受診してください。
次に脈が飛ぶケースです。脈が飛ぶと、胸がクッときたり、咳が出ることがあります。これは期外収縮といって心臓のしゃっくりの様なものです。心配不要な場合がほとんどですが、一度は心臓の諸検査をしましょう。そのうち受診してください。
動悸だけではなく、胸の痛み、息切れ、むくみを伴う場合は速やかにご連絡ください。
自律神経のアンバランスのための動悸なのか、あるいは心臓が苦しがっている悲鳴としての動悸なのかで治療は異なってきます。循環器領域、特に不整脈の分野は日々進歩してますので、貴方に合った治療法をご提案します。
こんな感じで説明します。
脈に敏感で動悸が多く、自分は絶対病気だと思っても正常である場合は多いです。しかし一方で、明らかに脈が速い、あるいは脈が飛んでいても全く自覚症状がない人もいます。自覚症状がないので安心かというとそうではなく、知らないうちに心不全を起こしていたり、脳梗塞を起こした後に不整脈が原因だったという場合があるのです。
動悸のある人もない方も自分の脈を時々チェックしてみてはいかがでしょうか。