コロナと闘う2(感染の有無)
コロナウイルスに関して日々新たな情報、見解が出ています。
あくまで参考程度で。
感染の有無について
コロナウイルス感染の有無を調べるには、PCR検査、抗原検査、抗体検査があります。今後まだ出てくるかもしれません。
PCR検査とは(正確にはPCR法)、コロナウイルスの遺伝子が検査装置の中で増えるかどうかによってその人が現在ウイルスに感染しているかを調べる検査です。現在は主に咽頭粘膜から検体を採取しますが、痛みで頭をひいてしまうと良い検体が取れません。最近唾液からでも検出良好なことがわかってきました。またその粘膜にPCRで陽性になる程度のウイルス量があるかどうかで結果は変わってきます。そしてPCR法を行う機器の感度や検査する人の正確性にも左右されます。検査過程は煩雑で時間がかかります。
最初は陰性だったが、肺炎が重症化して再検すると陽性だった、という話もありうるのです。日本では手作業でPCRしているのに、韓国では自動で行っている画像を見た方も多いと思います。日本は件数においては諸外国に遅れているのです。
抗原検査はコロナウイルス特有のタンパク質と反応する試薬を用いて感染を確認する検査です。主に咽頭粘膜を検体材料にします。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を正確に検出できる抗体を作成し、それを用いて判定するものです。インフルエンザ診断のような迅速キット化が可能で、PCR法と比べ検査時間、手技が大幅に短縮されます。ただしウイルス増殖が速いインフルエンザウイルスと比べて、増殖が遅く、潜伏期も長いコロナではどのようになるのか不明です。
抗体検査は新型コロナウイルスに感染した時に人間の免疫反応(液性免疫)で抗体ができてきます。まずIgM抗体、その後IgG抗体が作られます。それらの抗体の有無でコロナにかかっているかどうかを判断します。一般的にIgMは感染初期、IgGは既感染状態と言われています。ただし、その抗体検査キットが新型コロナウイルスの抗体を正確に反映できているかどうかが最も重要です。抗体検査は主に患者さんの血液を調べますので鼻から突っ込むよりも検体の差はなさそうです。抗体検査はどちらかというと過去にコロナにかかったかどうかを判断するためのものです。
さて、先日都内の大学病院でコロナ以外の別の病気の入院患者にPCR検査をしたところ約6%の方がコロナ陽性でした。また都内のあるクリニックで無症状の患者さんにコロナの抗体検査をしたところこちらも約6%が陽性でした。同様の報告は別のクリニックでもあります。なお感染大爆発のニューヨーク州では約14%が陽性でした。神戸のデータではコロナ以外の外来患者の3%が抗体陽性でした。
抗体検査の精度は別として、もし本当に6%の人が陽性であれば、その人達は少なくとも何らかの形で新型コロナに暴露されたことになり、自分の持つ免疫反応で抗体を作ったと考えられます。日本の人口の6%、これは何と600万人に相当し現在発表されている15000人の数百倍という計算になります。抗体検査は精度の問題はあるにしても大学病院のPCRでの6%陽性は衝撃的な数字です。
では抗体検査で(感染後期に出現してくる)IgG抗体が陽性であれば、今後コロナにかからないか、と言われるとそれはわかりません。抗体にも中和抗体といって一旦抗体ができると病原体を完全に封じ込める抗体もあれば、そうでないものもあります。またウイルスに対する免疫には抗体(液性免疫)の他に細胞性免疫というのもあり、これがコロナにどのように働いているかもわかっていません。
PCRや抗体検査での陽性はコロナに感染してますよ、あるいは過去に暴露されましたよ、ということはわかるのですが、その後発症するか、あるいは今後かからないかは不明なのです。
繰り返しになりますが、仮に抗体検査の結果が正しいとすれば、すでに新型コロナウイルスに暴露されている人は非常に多く、ほとんどの人は無症状、ほとんどの人は軽いカゼ症状で終わったことになります。一部の人が高熱がでて、その一部が肺炎まで発症。その後重症肺炎でお亡くなりになることもある、という病気と推測されます。
毎年インフルエンザでも多数の方がお亡くなりになられます。ただし超高齢者で肺炎を合併する場合がほとんどです。
コロナは比較的若い世代、しかも重症肺炎以外での死亡も多く確かに恐いです。血栓症の関与が以外に多かったとの海外からの報告もあります。血栓症とは手足の先の血栓症から、突然死を伴う重症の肺塞栓症まであります。
多少のカゼ症状ではステイホームが推奨され、カゼでクリニックに来られる方もめっきり減りました。皆さん家で様子を見られているのだろうと思います。そもそも大人も子供も家にいるのでカゼにはかからないのでしょう。
毎日感染者数(通常は熱、呼吸困難など症状がある方が検査を受けるのですが、濃厚接触者は無症状の方も多いです)は報告されますが、何しろ実際の分母(本来の感染者数)がわからないので実態がつかめません。
感染の有無を調べる検査を積極的にした方が良いのか、集団免疫が出来上がるまで今のままの状態でいくつもりなのか、それもわかりません。
世の中は給付金、自粛、治療薬の話でもちきりです。個人的には、仕事柄暴露する機会が多いので、どうやって自分の抵抗力を上げるかを日々考え、患者さんにお伝えしてます。