健康診断

3月、4月は健診の多い月でした。「けんしん」についてお話します。

「けんしん」には健診と検診があります。似たようなものですが多少違います。

健診は健康診断のことです。健康診断は、職場や自治体で実施することが労働安全衛生法で定められています。なかでも一般健康診断(一般健診、定期健診)は、事業者が労働者に対して1年に1回以上実施することが義務付けられています。定期健診以外に入学前、就職前の健診や特定健診(いわゆるメタボ健診)などもあります。
血圧は大丈夫か、肥満はないか、血液検査で異常な数値はないか、など健康かどうか調べ、体全体のチェックを行い、病気の危険因子やサインを見つけることが目的です。その結果で生活習慣を見直す機会にもなります。もちろん明らかな病気が見つかれば治療につながります。

一方検診は検査することを目的にしているため、ガン検診や歯科検診など、特定の臓器を検査することを目的とした場合の検査を表します。対象となる病気があるかないかを検査します。

では人間ドックとは何でしょうか。人間ドックには法的な定義はなく、一般健診と比べてより精密な検査を任意で行います。施設によって検査項目やコースもさまざまです。基本検査は2万円程度から、オプション検査を追加すると数十万円を超える場合もあります。
ホテルで優雅に時間を過ごすドックもあります。

雇用時および定期健康診断の項目を少しチェックしましょう
これらの項目を健診として行っています。

1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査
5 血圧の測定
6 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
8 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清中性脂肪)
9 血糖検査
10 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11 心電図検査

箇条書きにすると項目は多そうですが実は少ないのです。
喫煙、肥満、血圧で健康かどうかは大体わかります。
尿を見れば腎臓と糖尿は大抵わかります。

それ以外の中身を少し見てみると・・・
胸部エックス線では人に感染させるほどの結核病巣はわかります。ですが最も怖い初期の肺癌はわかりません。
安静時の心電図が正常でも狭心症や不整脈はわかりません。安静時心電図が異常であれば即受診です。(ただし自動解析の細かい項目は除く)
貧血検査は女性のヘモグロビンの基準値が低いので重症な鉄欠乏の人も大抵スルーされてします。この程度なら大丈夫、とか言われて。
LDLコレステロールは基準値が低すぎるので多くの人が脂質異常症という病名がついてしまいます。場合によっては受診を勧められ不必要な薬を受け取ります。

定期健診は必要ですが、その後の解釈をしっかり聞いてきてください。