水素について
水素についてのお話しです。
水素は原子番号1番の最も軽い非金属元素です。地球上にある水素のほとんどは、水(H2O)のように化合物として存在しています。
水素は、産業用途としては肥料製造や半導体加工、石油化学工業などで広く使われており、日常用でも家庭用燃料電池「エネファーム」や二次電池(ニッケル水素電池)で使われています。
では人間ではどうか?実は水素は腸内細菌によって腸管から産生されており体内を循環し呼気からわずかに排泄されているのです。人が本来持っていた抗酸化システムのひとつと考えられます。
マウス扁平上皮癌に水素が有効であった(1975年)報告や、肝炎に対する水素の抗炎症作用(2001年)など水素に関する医学論文は徐々に増加していきました。
2007年に日本医大の太田教授らのグループが、水素は活性酸素を消去し酸化ストレスから細胞を保護し、動物モデルにおいて虚血再灌流障害から組織を保護することを報告しました。Nature Medicine(2007; 13: 688-694)
その後、水素には抗酸化作用に留まらず、炎症抑制効果、アレルギー抑制効果、細胞死抑制効果、エネルギー代謝促進効果があることが示されました。水素治療はそのような多彩な機能をもち、さらに非常に効果的に疾患モデル動物を改善することが示されています。
現在のところ人を対象として水素摂取により統計的に有意な差が出ているのは10報程度で、見出されている効果は、LDLコレステロールや耐糖能改善、筋疲労の改善、抗酸化ストレスの低減、パーキンソン病の症状改善等、悪性肝腫瘍で放射線治療を受けている患者のQOLスコアの改善等、多岐にわたります。ただしいずれも参加者が数十人のごく小規模の試験結果であり今後の大規模臨床試験が期待されます。
では具体的にどのようにすれば健康に良いのか?
水素の摂取方法などはまた別の機会にお話しします。