痛風発作

痛風発作は血液中の尿酸値が高くなり、いくつかの条件が重なるとおこってきます。一般的な病気で、皆さん足を引きずりながら診察室に入ってこられます。昨日は何ともなかった方も急に痛みが出ることがありで非常に辛そうです。

尿酸はプリン体が代謝され肝臓で作られます。

ビタミンCを作れない人間にとって、尿酸は体に必要な強力な抗酸化物質です。年とともに尿酸値が上昇してきますが、これは加齢による体の錆びつきに対し防御態勢ができていることを意味します。

遺伝的に尿酸値が低い人がいて(尿酸値0.3mg/dl程度)、このような方は酸化ストレスに対し弱く実際心筋梗塞の発症頻度は高いです。

ではどのくらいの数値になると下げるべきかは悩ましいところです。尿酸値が11~12mg/dl以上は腎障害を起こすとされていますが、8~9mg/dlといった値では痛風発作を起こさなければ放置してもよいのです。この程度の尿酸値のみで、動脈硬化のリスクになるという報告はありません。

しかし痛風発作を起こした人はやはり5~6mg/dlに下げておいた方がよさそうです。

痛風発作の一般的な話です。

尿酸値が6以上になると血液中に溶けきれず、結晶となり関節に貯まるようになります。血流が悪く局所が酸性に傾くとさらに結晶化しやすくなります。そこに何らかの影響が加わって結晶が剥がれた時に白血球が異物とみなして炎症を引き起こし、局所の関節炎を起こします。発赤、腫脹、疼痛といった炎症が起きるのです。針で刺したような痛みであり非常に苦痛です。

痛風発作はほとんど男性です。30代の若者でも起こります。女性ホルモンは尿酸排泄の方向に働くので女性にはほとんど痛風はありません。血液中の尿酸値が高い人が皆痛風発作を起こすかというとそんなことはありません。

痛風発作は、太っていて、揚げ物大好き、酒をのみまくる、といった食生活の乱れている人に起こりやすいです。

プリン体は焼き鳥、カツオ、シシャモなどに多く含まれます。ビールに含まれるプリン体は意外と少ないです。

太るとインスリン過剰になり尿酸の排泄を抑制します。アルコール自体にも尿酸を上げる作用があります。またアルコールの利尿作用で脱水、結晶化されやすくなります。

痛風発作はある時突然起こります。ピークは24時間、1週間程度で軽快します。発作時に薬で尿酸値を急激に変動させるとさらに炎症がひどくなることがありますので、発作時には足を冷やして安静にして、消炎鎮痛剤など通常の関節炎の治療を行うと良いのです。十分関節炎が治まってから尿酸を下げる治療を開始します。

痛風発作を起こした人は関節内に尿酸が結晶化しているので、尿酸値を低く保ちながら数年かけて結晶を取り除いていく必要があります。

医者にもらった薬を飲めばよいだけではなく生活習慣自体を改める必要があります。1日3食、野菜をしっかり、腹八分目、食後のウォーキングなど。痛風発作だけならまだしも、肥満、高インスリン、内臓脂肪、脂質代謝異常となると心血管疾患が待ち受けています。

たかが尿酸値を思わずに、健診で尿酸値が高いと指摘されたら一度は医者のアドバイスを受けましょう。