免疫力を上げるには ~コロナと闘う~
免疫を上げてコロナと闘うお話です。
今回のコロナウイルスのことを正式には SARS-CoV-2 と呼びます。そしてコロナウイルス感染症のことを COVID-19 と呼びます。ここでは簡単にコロナと略します。
コロナに関してある程度のことがわかってきました。中国からの3600人のメタ解析です。
臨床症状としては発熱、咳、倦怠感、筋肉痛が多く、検査結果としてはリンパ球減少、CRP上昇、LDH上昇が特徴的です。(J infect.2020)
また別の報告でコロナの進展様式としては、ステージ1:初期1~2日無症状状態、ステージ2:次の数日で上気道、気道反応(80%の人はここまでです)、ステージ3:残りの20%の人が肺まで病変が達して低酸素、ARDSとなります。(ERJ 2020)
イタリアからの報告では、血栓症の合併が多く、重症肺炎以外の死因の一つであることがわかってきました。
コロナウイルス感染を防ぐ、かかっても重症化しない、ためには今のところ体の免疫力を上げるしかないようです。
コロナウイルスに対して免疫力を上げるには、テレビでは「睡眠・食事・運動」としか言ってくれないのですが。では実際何をすればよいのでしょうか?
免疫力と簡単に言いますが、「血圧」のように簡単に測定できるものがあればいいのですが、ありません。白血球の一種である免疫細胞たちが作り上げる複雑なシステムなのです。50歳を過ぎたあたりから免疫力は低下してきます。
「カゼやインフルエンザに10年以上かかったことがない」という人が時々おられますが、免疫力は高いのでしょう。
「癌の治療で免疫抑制剤を使っている、すぐに熱がでて抗生剤を飲んでいる」という人は免疫力は弱いのでしょう。
免疫力を測定するには、例えば、リンパ球の一種であるT細胞やB細胞の数、あるいはNK細胞という異物を攻撃する細胞の活性が高ければ免疫力が高い、と評価することがあります。あるいは何らかの薬剤を投与した前後で、炎症性サイトカインと呼ばれる物質を測定したり、酸化ストレスマーカーを前後で測定することで免疫力の改善を評価する場合もあります。
いずれにしても免疫力は簡単に数値で示されるものではありませんし、免疫力を表す数値が高ければコロナになりにくい保証はありません。
結局、カゼをはじめとするウイルス感染にかかりにくい状況は免疫力が高い状態であり、すぐにカゼを引いてしまう状態は免疫力が低下していることになります。
免疫力を上げる(=カゼをはじめとしたウイルス感染にかかりにくくする)具体的な方法です。
運動に関して、健康維持、免疫力アップのための効果的な運動とは、軽く汗ばむ程度、呼吸は早くなるが、人と会話できる程度の運動であり、年齢から推定した最大心拍数の5~6割程度までとされています。そして嫌々運動しない、運動することがストレスになる方は無理しないでください。
もう一つ、激しい運動、マラソンなどは運動することで体内に過剰な活性酸素が産生され、かえってカゼをひきやすくなります。激しすぎる運動は免疫力を落とすということです。
睡眠に関して、睡眠不足はカゼをひきやすくなります。睡眠時間が長くても熟睡できない状況では睡眠不足と同じです。寝る前に糖質を多く摂ると夜間血糖値が下がり熟睡できません。深酒をした翌朝も寝た気がしません。また睡眠時無呼吸のある人は夜間低酸素で良い睡眠がとれません。
免疫力を上げるために良好な睡眠をとるためには、寝る直前の過剰な糖質、アルコール、カフェインは控える、睡眠時無呼吸がある人はCPAPなどで治療する、それに加えて寝る前にメラトニンやCBDオイルを摂取することがおすすめです。
食事に関して、栄養は免疫システムに大いに影響を与えます。
まず何を食べてはいけないか、です。
精製された炭水化物・糖質、多量の飽和脂肪酸、低レベルの食物繊維などの西洋式食事はお勧めできません。スナック菓子、レトルト食品、見た目が美味しそうに見えるもの、時間がたっても色が落ちないもの、調理しなくて良いおかず、などです。
何を食べたらよいか、です。
ズバリ。みそ汁、焼き魚、煮物、納豆、豆腐、漬物など和食が良いのです。もちろん肉をしっかり食べるとよいのですが、魚もしっかり摂ってください、という意味です。タンパク質は免疫反応をつかさどる酵素や抗体の原料です。お子さんにお菓子を食べさせるなら小魚とナッツの混ざったものがおすすめです。
そしてビタミン・ミネラルがしっかり含まれた食事を摂ることです。以前コロナウイルスとビタミンCのブログで説明しましたが、カゼを含めたウイルス感染にはビタミンC、ビタミンD、亜鉛、マグネシウム、セレンの摂取が非常に重要です。しかし残念ながらこれらを食事のみで賄おうとしても、特にビタミンCは無理があります。
ビタミンC:最低1日3~4g、ビタミンD3:1日2000~4000単位、マグネシウム:400mg、亜鉛:20mg、セレン:100μg
を良質なサプリメントで摂るようにしてください。ビタミンCに関しては点滴する方がより効果的です。
その他一般的なことですが、身体を温める(急に寒くなるとカゼひきますよね)、よく笑う、リラックスする、これらにより副交感神経が優位になることで良い効果をもたらします。
昨日東京での新規感染者数が約1か月ぶりに50人をきったようです。
ただしコロナとの闘いはまだ始まったばかりです。誰にでも感染するリスクがあります。
これから始まる連休中の不要不急の外出は避け、ご説明したような方法を少しでも取り入れ、免疫力を上げてウイルス感染から身体を守りましょう。