当院でのコロナの状況

新型コロナウイルス感染症とはウイルス性の風邪の一種です。3月末で日本全国で約50万人が罹患しています(人口の約0.5%)。死亡する人の割合が約1%です。50歳代以下で0.06%、60歳代以上では5.7%と死亡率は50歳代を境に大きく上昇します。若年者の重症化は極めてまれです。また新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。
(厚生労働省のHPより)

新型コロナ陽性患者は3月下旬より再び増加してきました。その対策としてマスク会食(食事を口に入れたら即マスクしてモグモグ)の徹底?、飲食店への見回り?、など日本全国、ややおかしくなってきているようです。

クリニックでのコロナウイルスの発生状況に関しては書くべきかどうか迷ったのですが、地域医療を守る役割がありますので、当院における新型コロナウイルス患者の状況についてお話します。

当院では昨年7月より早々と新型コロナウイルス感染症に対する鼻咽頭ぬぐい液での抗原検査を行ってきました。完全別室で実施しておりますのでご安心ください。

昨年夏から秋にかけては抗原検査で陽性になった方は、再度保健所がPCR検査を実施することが多かったようです。全国的に発生が増えると再度のPCR検査は少なくなりました。その後今年に入って、変異株の問題でしょうか、陽性となった患者さんは後日再度PCR検査をされていました。

当院におけるコロナ陽性患者の年齢分布です。当院は小児はほとんど診ておりませんので10歳以下は検査しておりません。
30歳以下 35%、40~50歳代 24%、60~80歳代 41%

次に症状です。
ほぼ全員、発熱を認めました。当院では検査時に熱がなくコロナ陽性は1名のみでした。
37~38度が 86%で、39度以上の発熱は 12%でした。
熱だけで他に何も症状のない人が18%でした。

だるさは41%に認められました。数日だるかった、今までになく体が重かった、などです。喉の痛みは36%、味覚障害は12%でした。その他の症状として、軽い咳、頭痛、関節痛がありました。

高熱の患者さんで、抗原検査偽陰性(実際コロナ陽性患者だったが抗原検査で陰性)が2例ありました。診断までにやや時間がかかってしまいました。
高熱が続く場合、他に調べても原因がわからない場合は要注意です。抗原検査とPCR検査を組み合わせた方がよさそうです。

このように症状は普通のカゼと同様です。報道されているような味覚障害や喉のやけるような痛みは少なかったです。熱があるのでカゼと思って来院され、調べたらコロナ、というのがほとんどでした。
「コロナ陽性ですよ」、とお伝えしても、ちっとも驚かない患者さんもおられます。今から飲みに行くことは止めてほしいですね。

当院での陽性患者さんのその後の経過は全員把握できたわけではないですが、ほとんどの方は軽症で終わりました。コロナの重症肺炎、コロナ患者の急変などがしばしば報道されますが、頻度的には先ほどお話しした程度です。
呼吸困難が強く重症化している方は、救急搬送されるので、クリニックには来られません。クリニックでは当然軽症の患者さんが多いのです。病院と診療所では違いがあります。

今後コロナワクチンが普及してくるのでしょうが、ウイルスは変異を繰り返すので1回ワクチンを接種することですべて解決では到底なさそうです。でもウイルスは宿主(人間)がいないと生存できませんので、そのうち共生できるようにインフルエンザウイルス並みにはなるのでしょう。

地域医療を守るために私ができることは、素早くコロナを診断して、(今のところ指定感染症なので)患者さんには行政の指示で行動してもらう。またコロナ(ウイルス性の風邪)にかからない体づくりをお伝えして実践していただく、ことだと考えております。
抗原検査とPCR検査の詳細はここでは触れませんが、お互いのメリット・デメッリトを考慮し今後も検査を続けていく予定です。