体に悪いもの(2)~鉛~

体に悪いもの、今回は鉛(Pb)です。
現代人の骨には昔の人と比べて700~1100倍の濃度の鉛が蓄積されているという報告があります。(N Engl J Med 300:946-951,1979) 産業革命前後でこれだけ差が出ているのです。
現代における鉛の汚染源は、排気ガス、大気汚染、水道の鉛管、塗料などです。2001年度の新聞には鉛の水道管850万世帯超との記事がありました。
鉛汚染の症状は他の重金属と同様、頭痛や情動不安といった不定愁訴が多いのですが、高血圧や腎機能障害の原因にもなります。また赤血球の成分であるヘモグロビンの合成がうまくいかなくなります。グルタミン酸から5アミノレブリン酸への変換を鉛が阻害してヘム合成に悪影響を及ぼします。原因不明の貧血には鉛中毒も潜んでいるのです。
鉛をはじめとした有害重金属の体内蓄積量は、簡単には髪の毛や爪から調べる方法があります。最近手のひらに器械を当てて調べる新しい方法もあります。DMSAというキレート剤を内服して尿中への排泄量を測定する方法が一番正確です。
ここ数年私も定期的に白髪染めをしています。気になって先日DMSA誘発で体内の鉛を測定したら・・・高かったです。(でも異常高値ではありませんでした)DMSA内服後の尿は何とも言えない金属の匂いがしました。
私よりもっと白髪染め歴の長い人を測定したら、私の数倍高値になっていました。何気なくやっている毛染めですが、恐ろしい・・・。