イベルメクチン
コロナの治療として抗体カクテル療法の話題ばかりですが、イベルメクチンも負けてはいません。
イベルメクチンとは北里大学大村博士が開発に貢献された薬剤で、もともとは家畜やペットの回虫、寄生虫の治療薬です。ヒトに対してはアフリカ、中南米の河川で発生していた失明に至るオンコセルカ症や、脚のリンパ腺でフィラリアが増殖し象皮様を呈する象皮病の治療薬として注目を浴びました。今から40年前の1981年に開発された薬剤です。
現在のところ保険適応は疥癬と腸管糞線虫症です。なぜか新型コロナウイルス感染症にも効果があるのです。商品名はストロメクトール、1回4錠を飲むだけです。重篤な副作用はほぼないそうです。これは簡単ですね。
新型コロナウイルス感染症に効果のある薬剤を世界中の研究者が探し、開発しています。以前から使用できる薬剤として抗インフルエンザ薬、HIV治療薬、マラリアのクロロキン、そしてイベルメクチン、エボラ出血熱のレムデシビルなど。様々な治験が行われ徐々に有効な薬剤が徐々にわかってきました。
現在国内で承認の治療薬としては、エボラ出血熱のレムデシビル、ステロイドのデキサメタゾン、JAK阻害薬のバリシチニブ、そして今回承認された抗体カクテル療法のカシリビマブ・イムデビマブです。実は厚労省は昨年5月にイベルメクチンのCOVID-19治療への適応外使用を認めています。だから使用できるのです。その後も世界でイベルメクチンの効果を認める臨床試験結果が次々に出てきています。
なぜ寄生虫の薬がコロナに効くか。ある薬剤が他の疾患に効果がある例はしばしばみられるのです。一応新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を阻害し増殖抑制に働く、とされています。
諸外国ではイベルメクチン投与で効果あり、の治験が相次いでいます。死亡率、症状改善、回復までの期間、PCR陰性化までの期間、重篤な副作用など、解析したすべての項目で、イベルメクチン群が優れていた、との報告があります。当然イベルメクチンに否定的な報告もあります。アメリカはどちらかというと使用に消極的です。一方アジアでは注目が集まり需要が急増しています。日本では大村博士のお膝元の北里大学で治験が進行しているところです。
ただし先日発表されたコクランレビューでは、現段階のエビデンスからはイベルメクチンの有効性、安全性は不確実、とされています。あくまでも医師個人の責任で使用してくださいな、ということです。
さて新しく開発された治療薬は高額です。今回7月に承認された抗体カクテル療法はコロナと診断された患者さんに使用することで入院や死亡のリスクを70%減らす、という点滴の薬剤です。700人程度の比較対照試験の結果です。
ということは入院前、軽症のうちから使用しなければなりません。
イベルメクチンも重症化や死亡を7割程度減らす、との報告が多いので効果は同程度?でしょうか?
でも価格を聞いてびっくり、一般的に〇〇マブとつく抗体医薬品は高額なのです。一方イベルメクチンは2000円程度ですが。
先日、テレビのコメンテーターとして在宅に力を入れている先生が出演されていました。コロナと診断したら皆にイベルメクチンを飲んでもらう、私の周りでコロナで死亡した人は誰もいない、とお話しされていたのがとても印象的でした。個人レベルの話なのですべてが正しいとは思いませんが、イベルメクチン投与は供給が十分あれば私も同感です。現在品薄になっています。
デルタ株感染が主体となり感染者数が急増しています。ただし重症化率は30歳以下0.1%以下、40代で0.3%、50代でも0.8%で以前の株と著変なく特別重症化しやすい株ではなさそうです。(細かい数字は誤っているかもしれません)一部は重症化しますので感染者の総数が増えれば当然病床は逼迫し、本来の救急疾患の受け入れが制限されることになります。これは何としてでも避けなければなりません。
抗原検査でコロナと診断したらイベルメクチン投与はありだと思います。その場で飲めて、重篤な副作用は極めてまれです。承認薬ではない、は問題ありません。医師個人の責任で行うわけですから。目の前の患者さんによくなってもらうことが一番ですから。
これまで何度か述べてきましたが、重要なのはコロナにかからない体づくりです。ビタミンC、ビタミンD、亜鉛をしっかり摂取する、十分睡眠をとる。
高齢者は重症化回避のためにワクチンが必要でしょう。
そして症状があり陽性と判断されれば、まずはイベルメクチン内服でよいのではないでしょうか。
感染してしまった本人はとても不安です。指定感染症の届け出をして、何もしない、パルスオキシメーターを手渡して、酸素濃度が下がってきたら入院しましょう、では悲しすぎます。攻撃は最大の防御なり、コロナに対しても積極的に先制攻撃を仕掛けなければならないと思っています。
※このブログに関しまして多数お問い合わせをいただいておりますが、8月23日時点でイベルメクチンの在庫はありません。