新幹線に個室復活!「Supreme Class」
先日、東海道・山陽新幹線に2026年10月1日から登場した最上級クラス「Supreme Class(スプリームクラス)」の個室に乗車してみました。
土曜の夜に東京で用事があり、事前にスマートEXで新幹線を調べていたところ、新神戸から品川までの2名用スプリームクラスに、なんと空きが!
料金にも驚きましたが、せっかくの機会なので、思わず予約ボタンをポチッとしてしまいました。
今回乗車した2名用個室はリクライニングチェアとソファがあり、一人で乗るには何とも贅沢な空間です。グリーン車とは比較にならないほど上質な設備を備えた個室でした。

今回は、日本の鉄道個室の歴史と、その背景にある経済や社会の変化について振り返ってみたいと思います。
豪華寝台列車の黄金時代
日本の鉄道個室の歴史は古く、明治時代にまでさかのぼります。
戦後の1958年には、寝台特急「あさかぜ」に個室寝台を備えた20系客車が登場し、「走るホテル」と呼ばれるようになりました。
1970年代後半はブルトレブームとなり、小学生の頃、友達と何度も大阪駅に写真を撮りに行きました。
そして1980年代後半、豪華寝台列車の黄金時代が訪れます。
1988年、青函トンネルの開通とともに上野〜札幌間を結ぶ「北斗星」が登場しました。豪華な個室寝台や食堂車を備え、北海道への旅そのものを楽しめる列車として人気を集めました。
翌1989年には、大阪〜札幌間を日本海沿いに走る「トワイライトエクスプレス」が誕生。最上級個室の「スイート」や「ロイヤル」、本格的なフランス料理を楽しめる食堂車など、鉄道旅行の贅沢を象徴する存在となりました。この頃より豪華個室は滅多に予約できない状況となりました。バブル景気の時代らしい華やかさが感じられる列車でした。
バブル崩壊と鉄道個室の変化
1990年代に入るとバブル経済が崩壊し、日本は長い経済低迷期を迎えます。
鉄道会社も効率化を求められ、広いスペースを必要とする個室は、一般の列車では採算面で不利になりました。また、新幹線の高速化や航空機との競争によって、長距離寝台列車の利用者も減少していきました。
しかし、豪華個室の文化が途絶えたわけではありません。
1999年には、上野〜札幌間に全室個室の寝台特急「カシオペア」が登場しました。従来の寝台列車とは異なる洗練された設備で人気を集めました。カシオペアのチケットはプラチナチケットと呼ばれ、まず予約できない・乗れない、憧れの寝台車でした。
その後、北斗星とトワイライトエクスプレスは2015年に運行を終了しましたが、豪華鉄道旅行の伝統は新しい形で受け継がれます。
2013年にはJR九州の「ななつ星 in 九州」、2017年にはJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」とJR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」が登場しました。
瑞風は全室個室で、上質な食事や沿線観光を組み合わせた豪華クルーズトレインです。
かつての豪華寝台列車が「快適に目的地へ移動するための贅沢」だったのに対し、瑞風では「移動そのものを楽しむこと」が旅の目的となっています。
日本経済が成熟する中で、贅沢の意味も変わってきたのかもしれません。
新幹線にもかつて個室があった
一方、昼間の移動を中心とする新幹線にも、かつて個室が存在していました。
1985年に登場した100系新幹線には、2階建て車両の一部に1〜4人用のグリーン個室が設けられ、ビジネス客や家族連れに利用されていました。
しかし、輸送効率や高速化が重視され、2003年には東海道新幹線から個室が姿を消しました。
それから23年。今回のSupreme Classによって、東海道新幹線に見事に個室が復活したのです。
Supreme Classが提案する新しい贅沢
さてSupreme Classに話を戻します。
2026年10月現在、Supreme Classを備えた列車は1日上下計12本程度と、その1編成に個室はたった2室。まだ限られた存在です。7号車に2人用個室、10号車に1人用個室がそれぞれ1室ずつあります。
私が今回利用した2人用個室は、約2.7mx1mの空間に、リクライニングシートとソファ、それぞれにテーブルを備えています。
電子錠付きの扉によってプライバシーが確保され、照明や空調も自分好みに調整できます。専用Wi-Fiも備わり、ウェルカムドリンクもあり、仕事にも休息にも適した空間です。
さっそく室内外の写真、自撮りしながらあっという間に新大阪。そしてしばし景色を眺めながら一瞬で京都。京都を過ぎるとウェルカムドリンクのサービスがあります。いつもの酎ハイで乾杯。
ビジネスホテルのような個室は扉を閉めれば完全に通路の音がシャットアウト。個室の窓から外を眺めていると時速270kmで景色が流れていくのは不思議な感じです。今までにない全く別の乗り物です。
思い切りくつろいでいると名古屋に停車していてホームからじろじろと見られました。
窓の外の流れる景色を眺めながら、仕事の計画を練るのは集中できて至福の時です。
蒲郡あたりで夕闇が迫り、暗い中を突き進んでいきます。音楽を大音量で流していましたが、あとで考えるとスマホをBluetoothで接続すればヘッドレストから音がでてくるようでした。
新横浜に停車してすぐに品川に到着してしまいました。もっと長時間乗って痛かったです。
2027年度には半個室タイプも登場する予定で、今後の展開が楽しみです。

贅沢とは、誰にも邪魔されず自分の時間を過ごすこと
かつての豪華寝台列車の個室は、旅の非日常を演出する特別な空間でした。
一方、今回のSupreme Classは、日常の移動時間をより快適で価値あるものに変えようとしています。
速さや効率を追求してきた新幹線が、今度は「時間の質」を追求するプランも与えてくれました。
今は限られた本数しか個室は運行されてませんがJRさんも需要を見ながら今後個室を増やしていくことでしょう。
今後リニア新幹線ができて品川名古屋が約40分で結ばれるようになれば、個室は不要になるかもしれません。かつて東海道新幹線には贅沢な個室があったが、2035年に廃止されました、なんてことにならないように願っています。
真の贅沢とは、豪華な設備だけではなく、誰にも邪魔されず、自分の好きなように過ごせる時間そのものなのかもしれないと感じました。




