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食事・運動を見直しましょう

三上内科クリニックの取り組み

健康維持に重要なことは良いものを体に取り入れ、悪いものは摂らないことです。
当院では、本来私たちの体がもっている栄養素を最大限に利用し至適濃度にすることにより、病気の予防・治療を行うオーソモレキュラー医学(分子整合栄養療法)の立場を重要視しています。
血液検査による栄養解析を行い個々の生活、病態の違いに応じて、医師、管理栄養士が食事のアドバイスを行い、適切なサプリメントでの栄養の補充もお手伝いします。

現代の食環境

約3000年前、人間は農耕を始めたことで効率のよいエネルギー源である炭水化物を手に入れました。炭水化物は効率よく血糖値を上昇させ、特に甘いものは脳に作用し幸福感を与えます。炭水化物の過剰摂取が問題となり始めたのはわずか50~60年前からのことです。なおも増加し続ける生活習慣病は飽食の時代に生きる人間(とペットの)特有の病気なのです。

2017年度にLancetという医学雑誌に「炭水化物の摂取量が多いほど死亡リスクが高まり、脂質の摂取が多いほど死亡率が低下する」という内容が投稿されました。
この論文は、5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果です。
これまでの研究データのほとんどが、栄養過剰の傾向にある欧米のものであったのに比べ、低所得、中所得、高所得の18カ国を網羅しており、その点でも信頼性の高い研究だといえます。
これまでいわれてきた炭水化物は良い、脂質は悪い、の全く逆が証明されたわけです。

  • 炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連
  • 総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連
  • 総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない
  • 飽和脂肪酸は脳卒中と逆相関している

炭水化物を過剰に摂取すると、何が悪いのか

人間は炭水化物由来のブドウ糖、蛋白質由来のアミノ酸、脂肪由来の脂肪酸がそれぞれ燃焼され、ATPという物質を産生することでエネルギーを得ています。ブドウ糖は「解糖系」という、単純ですが効率の悪い小さな工場でエネルギー産生が行われます。その他にもう一つ、ミトコンドリアという精密なエネルギー効率のよい工場がありますが、それを稼働させるにはビタミンミネラルが必要になってきます。
炭水化物を摂りすぎると、過剰なエネルギーは脂肪細胞に取り込まれます。肥大化した脂肪細胞は炎症性物質を放出し動脈硬化や糖尿病を進行させる方向に向かいます。また余分な糖分は血液中で血糖値を上昇させインスリン放出を促します。この高インスリン血症が肥満を引き起こし、ガン細胞の増殖にも関与しています。
また過剰なブドウ糖が細胞を作るタンパクと結びつき終末糖化産物(AGEs)という老廃物が蓄積し組織を劣化させます。糖化によって血管壁の柔軟性が失われ、血管内に脂肪や血栓が溜まって炎症が進むと動脈硬化を加速させるのです。

タンパク質について

タンパク質は生命維持に不可欠な物質です。食事から十分とらなくてはなりません。細胞膜をつくり、細胞骨格を形成し、筋肉、皮膚を構成します。酵素やホルモンとして代謝を調節します。成長期には新生組織の蓄積にさらに多くのタンパク質が必要ですし、発熱、炎症時には体タンパクが燃やされるため普段より多くのタンパク質の摂取が必要です。老年期になってくると筋肉が萎縮してきます。その際も多くのタンパク質が必要です。今のところタンパク質の過剰摂取は問題とならないのです。(過剰なカロリーとなってはいけませんが、タンパク質自体の健康障害の根拠はありません。)

脂質~私たちの本来のエネルギー源~

脳と赤血球はエネルギーに一部ブドウ糖が必要ですが、実はブドウ糖をとっていない夜間でも糖新生というシステムがあります。さらにブドウ糖が枯渇すると筋肉が異化することでブドウ糖を産生します。
ところがもうひとつ大事なエネルギー産生のシステムがあります。脂肪酸から作られるケトン体をエネルギーに用いることができます。実は基礎代謝の多くを占める心筋や骨格筋はエネルギー源のほとんどがケトン体で働いています。人間はもともと飢餓時にはケトン体を利用していましたが、絶えずブドウ糖が入ってきてしまう現状ではケトン体のシステムがうまく稼働していないのです。ブドウ糖を十分制限すると、脂肪を燃やし効率のよいエネルギー産生にシフトするのです。

メタボとロコモ

メタボは、メタボリックシンドロームの略で食事の過剰摂取により内臓脂肪が多くて糖尿病をはじめとする生活習慣病になりやすく、心臓病や脳などの血管の病気につながりやすい状況をいいます。炭水化物の過剰摂取を控えて、しっかり働くためのエネルギーとしてタンパク質、脂質をしっかりと摂る、そして適度な運動が必要です。この運動は有酸素運動が中心で、少ししんどい程度の運動を週3回程度行ってください。時には激しい筋トレの無酸素運動も必要ですが、その人の体力に合わせた運動が必要です。
一方ロコモとはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の通称です。
骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいいます。便利な世の中で生活していると高齢者だけではなく中年以降注意が必要です。

これらふたつの病態は逆に見えますが、メタボ対策がロコモにもとても有効です。
ロコモ対策としては、運動をして筋肉を鍛えることはとても重要ですし、筋肉の材料となるタンパク質を充分に摂ることも大切です。身体の筋肉量が増えると基礎代謝量(安静時のカロリー消費量)が増加するため、内臓脂肪も減りやすくなりメタボ対策にもなります。
このように、メタボとロコモは自転車の2つの車輪のようなものです。同じような対策で両方とも良い方向に改善していくのです。

骨粗鬆症と栄養との関係

骨粗鬆症という病気を考えるとき、「骨密度」と「骨質」というふたつの指標があります。骨密度は、骨を建物に例えると「コンクリート」の部分です。そして骨質は「鉄骨」の部分です。つまり「骨の丈夫さ」は、「骨密度」だけでなくその基礎となる鉄骨である「骨質」も非常に重要なのです。
鉄骨を強固なものにするにはコラーゲンが必要で、コラーゲン産生にはビタミンCと鉄が必要になってきます。鉄骨は加齢とともに劣化してきますがこれには高血糖などによる終末糖化産物(AGEs)も関係してきます。
このことから考えると骨粗鬆症の治療にはもちろん薬も必要ですが、その前に十分なアミノ酸、ビタミンC、鉄などの栄養素が必須となってきます。骨折の際も十分な栄養、ビタミン・ミネラルを追加することにより骨形成の期間が短縮されるようです。

平均寿命と健康寿命

健康寿命とは、健康で日常生活を送れる期間のことです。平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性では約12年の差があります。その間日常生活が制限されます。ロコモが進むと日常生活が制限され、支援や介護が必要になってきます。要支援、要介護になる原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障が最も大きな原因です。運動器の故障を避けるためには運動が必要になってきます。
厚生労働省の資料からも平均寿命は延びていますが健康寿命との間の期間は以前も今も変わりありません。亡くなる直前まで元気に活動するピンピンコロリという言葉が流行り多くの人が望んでいますがそうはいかないのが現状です。

運動の必要性

運動習慣をつけることが運動器の健康の維持を通じてロコモの予防、さらには認知機能維持にもつながります。運動がいかに重要かは興味深い論文が多数あります。
JAMAという医学雑誌で34000人、21年間の研究です。歩行スピードで寿命が決まるというデータです。例えば65歳男性で秒速0.2mの歩行の人は8年でほぼ死亡しています。
また歩幅と認知症リスクを調べた研究では、歩幅に狭い人は認知症リスクが広い人に比べて3.4倍高かった、との報告もあります。
運動で脳由来神経栄養因子は増加する(海馬に直接入る)報告や、早歩45分、週5回で海馬血流を増やす、との報告もあります。
また別の論文では、1日中座っている人は殆ど座らない人に比べて死亡率が1.5倍上昇する、との報告もあります。
下肢は、筋肉を収縮することにより下肢静脈にプールされた血液を心臓に戻す、いわば心臓とは別のポンプの役割をしています。足腰をしっかり収縮することで静脈還流を確保し心臓をしっかり収縮させます。歩幅が広く早く歩ける人は心臓が丈夫なので長生きする、との見方もできます。
また心臓病の患者さんに行う心臓リハビリテーションではその人に合った歩行訓練を行うことで、こうした筋肉のポンプをフルに活用することにより、心臓のポンプが弱い人でも必要な血液の循環を保つことができます。

若い頃から適度に運動する習慣をつけて持続することが必要です。筋肉、骨、軟骨や椎間板は運動やふだんの生活で身体を動かして負荷をかけることで維持されるからです。
健康維持のための効果的な運動とは、軽く汗ばむ程度、呼吸は早くなるが、人と会話できる程度の運動であり、年齢から推定した最大心拍数の5~6割程度まで(カルボーネン法)とされています。
心臓病のある方は専門病院で心肺運動負荷試験(CPX)という検査を行い、運動耐容能(体力の限界)や有酸素運動のレベルを判定してもらい、その人に合った運動(運動処方)を行うのが心臓リハビリテーションです。これから高齢者が増加の一途をたどりそれに伴い心不全が増加する心不全パンデミックという時代を迎えます。心不全に対する治療も今後は運動が中心になっていくことが予想されます。

一人ひとりに合わせた食事・運動改善のために

食事、運動に関しましては個人の好みで大きく異なります。上記の内容をすべての方におすすめするわけではありません。
運動が嫌いな人に無理やりすすめても精神的なストレスとなりかえって悪い場合があります。食事は、味を楽しみ、料理を作ってくれた人と満たされた時間を分かち合う大切な場でもあります。制限することだけが良いわけでは決してありません。
当院ではお一人おひとりの生活環境に合わせた生活習慣の改善をお手伝いします。些細なことでも結構ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

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