ダイエット目的でマンジャロを勝手に注射してはいけない理由
マンジャロとは皆さんご存じのとおり「やせ薬」です。SNSで広がり、以前から本来の目的ではない適応外使用が広がっています。
最近あまりに酷くなってきたので厚生労働省が、美容目的の安全性は未確認、適正使用を、と呼びかけています。
無許可販売・保管疑いで書類送検、などの記事もありました。
やせ薬とハゲの薬は夢の薬として昔から開発されてきました。
数十年前の怪しげなやせ薬には甲状腺ホルモンが混入していました。飲み続けると甲状腺機能亢進状態となり確かに痩せます。でも病気です。
マンジャロができるまでの経緯です。2型糖尿病患者が悪くなると注射薬はインスリンしかありませんでした。2010年に2型糖尿病患者用にビクトーザというインスリンとは全く別の作用の注射薬が承認され多用されるようになりました。インスリンのような低血糖は殆ど起こさず体に良い薬としてもてはやされました。体重減少効果があることはわかっていましたが、SNSもない時代でしたので一般の人々の目に触れることはありませんでした。GLP-1製剤のはじまりです。
その後GLP-1製剤は、2020年に体重減少効果のあるセマグルチド(内服ではリベルサス、注射薬はオゼンピック)が2型糖尿病に使用できるようになりました。リベルサスの内服はSNSでも広がり一時期やせ薬としての地位を確保しました。でも実際は大して痩せません。
2023年にオルリスタット(アライ)という薬が薬剤師の指導のもと薬局で購入できるようになり、太ったおじさんたちが薬局に走りました。ただし適応の制限がありダイエット目的の女性は購入できませんでした。下痢便がひどく時に便失禁もあり、あまり評判はよろしくなかったです。
2023年になりようやくマンジャロが登場しました。マンジャロは第3世代のGLP-1製剤でGLP-1/GIPデュアルの作動薬です。体重減少効果が優れています。
そして2024年にウゴービが、2025年にゼップバウンドがそれぞれ肥満症の保険適応をとりました。
ここで整理しておきますが、マンジャロ=ゼップバウンド、ウゴービ=オゼンピック=リベルサス(内服)です。ややこしいですね。
体重減少効果はマンジャロ>ウゴービ=オゼンピック>リベルサスです。特にマンジャロ最大量15mgでは体重減少効果20%との報告もあります。
ではマンジャロを勝手に注射してはいけない理由です。何の副作用もなく余分な脂肪をスイスイ取ってくれる薬ではないからです。
①吐き気、嘔吐はよく見られます。だから食べなくて体重が減るのですが。肥満の男性ですらマンジャロ最小量でひどい副作用に悩まされることがあります。頭痛、めまい、動悸もあります。
②急激な食欲低下により脂肪だけでなく筋肉量も減少します。特に若い女性では鉄・ビタミン不足が重なると疲労感、体力低下、うつ状態につながることもあります。
③滅多にないですが急性膵炎になることが報告されています。
④少量から開始して副作用をみながら増量するのですが、それをわかってない方が多いです。危険です。
⑤正規の医療ルート以外のものは品質管理に問題がある場合があります。
以上が主な理由です。人に勧められたからといって、十分理解してないものを自分の体に注射するのはやめましょう。
本来は糖尿病の人、肥満の人に適切に用いられるべきです。
マンジャロをはじめとするGLP-1関連薬は血糖や体重だけではなく、心血管疾患、腎疾患、脂肪性肝疾患、変形性膝関節症、睡眠時無呼吸症候群などへの効果が示されています。
単に血糖値を下げる、体重を減らす薬から、心血管・代謝疾患全体を改善する可能性がある素晴らしい薬剤です。
体重計の数字ではなく、健康をいう価値を大切にしましょう。そもそも薬は貴女の想う理想の体型のためではなく、健康であり続けるために使うものです。



