循環器内科とは

循環器内科とは

私の専門の循環器内科とは、心臓そのものの病気や、動脈硬化で引き起こされる全身の血管の病気を診る科であります。
これまで病院に勤務しておりました時には心臓病の薬物治療、狭心症や心筋梗塞の心臓カテーテル治療、足の血管のカテーテル治療、ペースメーカー手術などを行っておりました。(開心術や足の血管のバイパス手術は心臓血管外科で行います。また同じ血管でも脳梗塞の急性期治療は脳外科や神経内科が行います。)
心臓病には多くの病気があり複雑なのですが簡単にご説明します。

体を車に例えてみましょう

心臓はエンジンです。
体が全力疾走するためにはエンジン(心臓)が十分働かなければなりません。

そのためには
  • 燃料があること
  • 燃料がエンジンに十分届くこと
    (燃料パイプが痛んでないこと)
  • エンジン内のピストンが協調して動くこと
  • エンジンそのものに力があること
  • エンジンの回転数
体を車に例えてみましょう

これらが組み合わさって、初めてエンジンが十分働き、車が動きます。

  • の燃料は血液であり、貧血の人はつらいです。
  • のエンジンに燃料が届かないのはパイプ詰まり、つまり動脈硬化による狭心症や心筋梗塞です。
  • のエンジン内のピストンが協調して動かないのは、心臓弁膜症です。
  • の力がなくなるのは心筋症です。いくら燃料が届いてもエンジンがよく回りません。
  • の回転数は不整脈です。遅すぎても速すぎても回転数がばらばらでもダメなのです。

すべてが組み合わさってエンジン(心臓)がしっかり働き、運転手(脳)の命令で車(体)は進みます。
エンジンを動かす各部分に不都合が生じて、心臓の動きが悪くなることを心不全と言います。

心臓病の症状は、動悸、息切れ、ふらつき、むくみ、胸痛などがあります。 疾患名としては、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、心臓弁膜症、心筋症などです。

多くの場合は、例えば以前心筋梗塞を起こして、その後心機能が悪くなり慢性心不全に陥っている、というような慢性の状態が多いです。ただし急に息切れや胸痛が出た時には要注意です。

当院では検査、診断は迅速に行います。重篤な心臓病の場合には必要に応じて適切な基幹病院を紹介し、急性期治療をしてもらいます。

循環器内科で扱う主な疾患

こんな場合はご相談ください

  • 血圧がだんだん上がってきた
  • 動悸がする(鼓動が速くなる、鼓動を強く感じる)
  • 脈が乱れる、飛ぶ
  • 以前よりも運動時の息切れがひどくなった
  • 心電図や胸部X線検査で異常を指摘された など

こんな場合は危険です。早めにご相談ください

  • 夜寝ると息苦しい
  • 胸に締めつけられるような違和感を覚える
  • 強い胸痛を覚える
  • 失神した

循環器内科の主な検査

胸部X線撮影

心臓をはじめ、肺や大動脈などの形や大きさを映し出します。心臓が拡大していないか、形はどうなっているか、肺の動脈や静脈は太いか細いか、途切れていないか、肺の内部に水が貯まっていないか、鬱血は無いか、大動脈はどのような状態か、などがわかります。撮影する部分に、金属物・プラスチック・湿布薬等があると、写真に写ってしまって診断の妨げになりますので、撮影前に外しておきましょう。

心電図検査

心臓の中で生じている微かな電気的変化について、時間を追って記録します。心臓の収縮・拡張が正常に行われているか、心臓の筋肉に酸素と栄養を供給している冠動脈の血流は円滑か、心筋に異常は無いか、などがわかります。検査室へ急いで駆けつけるなど、身体的運動を行った場合は、しばらく休んでから検査を受けましょう。また、服装は胸と両手首、両足首の肌を露出しやすいものが好ましいです。

血圧脈波検査

血圧脈波検査

血管の硬さ(CAVI)、血管年齢、下肢の血管の詰まり(ABI)、を診断する検査です。両手両足に血圧計を巻き前胸部に心音図をつけて検査します。
CAVIは大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈の硬さを反映する指標で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。ABIは下肢動脈の狭窄・閉塞を評価する指標です。PAD(末梢動脈疾患)患者の早期発見に有用です。

心エコー検査

心エコー検査

超音波を心臓に当て、返ってくるエコー(反射波)を画像に映し出し、心臓の様子を見るのが心エコー検査です。映し出された心臓の大きさや動き、弁の状態などを観察して診断を行います。放射線被曝の心配が無いので、妊婦さんや乳幼児も安心して受けられます。心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症などの疾患を確認することができます。

頸動脈エコー検査

頸動脈における動脈硬化の視覚的な診断が行える簡便な検査で、痛みもX線被曝も伴いません。動脈硬化を起こすと、血管壁が肥厚したり、硬くなったりしますが、その様子が画像を見れば容易にわかります。また、頸動脈(首の左右に1本ずつ走っている太い血管で、頭部に血液を送る重要な役目を担っている)の動脈硬化の進行度を調べることにより、全身の動脈硬化の程度が評価できます。首まわりが露出しやすい服装で受けましょう。

頸動脈エコー検査 頸動脈エコー検査

ホルター心電図

ホルター心電図

ホルター心電図は、日常生活のなかで小型・軽量な装置を身につけ、長時間にわたる心電図を記録・解析、観察する検査装置です。短時間の心電図検査などでは診断できない不整脈や冠攣縮性狭心症などの発見が可能です。クリニックで装着し翌日に来院していただきます。(シャワーは可能です。)翌日器械を外してから15分程度で解析できます。

画像診断

CT、MRI、心臓核医学検査などで評価します。(これらの検査は病院に紹介して行います)
心臓(冠動脈)CTは造影剤を用いて主に冠動脈を描出します。冠動脈の狭窄だけではなくプラークの状態も判断できます。立体的に描出できますのでカテーテル治療時の血管のみちしるべとしても利用されます。石灰化が高度な血管に対しては精度が劣ります。冠動脈だけでなく心房、心室も立体的に描出できますので冠動脈評価、治療以外にも多用されています。
CTが主に冠動脈を評価する一方で心臓MRIは心筋の評価目的で用いられます。(冠動脈の評価はCTに劣ります)ガドリニウム造影を用いた線維化の評価、T2強調画像を用いた浮腫、炎症病変の評価などMRIでしか評価できないものが多くあります。 心臓核医学検査(心筋シンチ)は少量の放射性同位元素を注射して運動負荷の前後で心筋への取り込み具合を調べて心筋の虚血状態を評価します。

心臓カテーテル検査・治療(これらの検査は病院に紹介して行います)

心臓カテーテル検査・治療(これらの検査は病院に紹介して行います)

カテーテル検査は侵襲的な検査です。手首あるいは足の付け根から細い管を心臓まで入れて主に冠動脈を造影する検査です。冠動脈に狭窄が認められれば先ほどの画像診断と合わせて血管治療を行うかどうかを検討します。カテーテル治療にはバルーン拡張、ステント留置、プラーク削り取りなど様々な方法で細くなった冠動脈を広くしていきます。

心臓カテーテル検査・治療(これらの検査は病院に紹介して行います) 心臓カテーテル検査・治療(これらの検査は病院に紹介して行います)