カゼとビタミンC

カゼの季節となりました。カゼの予防、治療に特に必要なビタミンはA、C、Dです。 今回はビタミンCについて説明します。

カゼをひいて医療機関を受診すると、基本的には咳鼻水などの症状を抑える薬が処方されますが、これは原因となるウイルスをやっつけているわけではありません。経過観察でよいカゼなのか、あるいは肺炎などに移行し抗菌薬が必要な状態なのか、喘息が悪化していないか、心不全を併発していないかなど診断し処方を決めています。

では何がウイルスをやっつけるのか、それは自分の白血球を活性化させてウイルスと戦うのです。その時ビタミンCの助けが必要となります。

人間はビタミンCを体内で作れません。白血球を活性化するには、ビタミンCの血中濃度をできるだけ上昇させる必要があります。通常ビタミンCの血中濃度は0.7mg/dlですが、何グラムを、何時間おきに摂取するのがいいか見てみましょう。

ビタミンCの経口での吸収率です。
下のグラフにあるように0.06gでは100%、0.1gでは90%、1gでは75%、2gでは44%、3gでは39%と一度にたくさん飲んでも吸収率は下がる一方です。

摂取する頻度は、ビタミンC1g4時間毎では最高血中濃度1.4mg/dl、1g1時間毎では3.9mg/dl、通常の血中濃度の5-6倍まで上昇します。

Gortonらの二重盲検試験(1999)からです。平常時から1日3回1gのビタミンCを摂取、カゼの症状がでたら速やかに1時間毎に6回1gのビタミンCを摂取、その後は平常時と同じ量を続けると、プラセボ群に比べて85%症状が軽くなったと報告されています。

カゼの予防には通常時からビタミンCを摂取しておくことが大切です。また、カゼをひいたかなと思ったら、すぐにビタミンCサプリ1gを1時間ごとに摂ってみてください。少なくとも症状の軽快には役立ちます。
当院には色々な味容量剤型のビタミンCサプリがあります。飲みやすいものを選んでください。もちろん血中濃度を直接上げるビタミンCの点滴が最強です。(75gのビタミンC点滴をすると350-400mg/dl、と驚くほど濃度は上昇しビタミンCが体中で働いてくれます)

私もビタミンCで予防はしていたはずですが不覚にも先週カゼをひいて喉をやられてしまいました。上記+αの方法で体はしんどくないのですが。先週の患者様方、ヒソヒソ声の診察(トホホです)で申し訳ございませんでした。