夜間目が覚めてトイレに行く　睡眠が中断されてつらいですね。

一般に腎臓は夜間に、尿の産生を低下させ、膀胱の蓄尿量を増加させ、排尿のために起きる必要がないようにしています。しかし夜間の排尿回数は加齢と共に増加し、1回以上排尿で起きる人は、50歳代で60％、70歳代で90％にみられます。

夜間頻尿の原因は、夜間多尿**、膀胱容量の低下***、睡眠障害に分けられます。

①夜間多尿の原因は　多飲、食塩過剰摂取、糖尿病、慢性腎不全、うっ血性心不全、
低アルブミン血症、睡眠時無呼吸症候群など

②膀胱容量の低下原因は　加齢、脳血管障害、パーキンソン病、過活動膀胱、前立腺肥大症などです。

夜間だけ頻尿か、昼夜ともに頻尿か、また下部尿路症状（頻尿、尿意切迫感、尿失禁、尿勢低下、残尿感、膀胱尿道痛など）を伴うかみてみましょう。排尿日誌（排尿の時間、1回尿量、失禁の有無）を記録すると、多尿*か膀胱容量の低下なのかがチェックできます。

実際、多尿の原因は飲水過多によることが多いです。
加齢とともに日中に摂取した水分が血管外に出て下肢に貯留しやすい
→夜間横になるとその水分が血管内にもどる
→静脈還流量が増え心臓に負担がかかる
→ナトリウム利尿ホルモンが分泌され尿の産生が増えるといった機序が働きます。

どれぐらいの飲水量が適切なのか、1日の尿量が体重×20～25ml（体重50.0Ｋｇであれば　1000～1250ｍｌ/日）になるように、飲水量を調整しましょう。脳梗塞、熱中症を心配され水分摂取を励行されているかもしれませんが、　夜間尿は睡眠の質を低下させ高齢者の転倒骨折のリスクを上げています。

頻尿の方は、飲水量、尿量を測定してみてください。意外と飲みすぎに気が付くかもしれません。多尿だったら、まず塩分を控えて適量の水分摂取にしてみるだけで、頻尿が軽減されるかもしれません。

*多尿　24時間尿量ml＞40ml×体重Kg（体重50Kgなら　40×50＝2000ml/日以上）
**夜間多尿　夜間尿量ml÷24時間尿量ml×100（高齢者では33以上:1日の1/3以上夜に排尿）
***膀胱容量の低下　最大1回排尿量ml÷体重Kg(4ml/Kg以下,体重50Kgなら200ml/回以下）