食べたいのに食べれないのはなぜ ~胃酸は重要~

よく、体調が悪い人、ご高齢のタンパク質不足の方に、
「魚や肉、卵をしっかり食べて!」という声をよく聞きます。
きっとその方たちは必要量を容易に食べることができないはずです。
なぜなら、酵素もタンパク質でできているため、タンパク質が足りない人ほど消化酵素が足りず、食べても消化吸収ができないのです。
「ただ足りない栄養素を大量に食べれば解決!」といった単純なことではありません。

タンパク質はアミノ酸がたくさんつながってできています。食べれない人は、まずはアミノ酸と消化酵素の補充から始めましょう。

タンパク質摂取後の消化吸収の流れはどうなっているでしょうか。
食事で取り込まれたタンパク質はアミノ酸に分解され、筋肉、皮膚、臓器など細胞の構成成分、酵素やホルモンなどに生合成されます。
タンパク質の分解には、胃液、膵液、小腸に含まれる消化酵素が働きます。

特に重要な胃酸は、胃粘膜から分泌されるペプシノゲンをペプシンというタンパク分解酵素に変えます。胃酸の分泌を抑える薬を服用、胃を切除した人、ピロリ菌に感染している人は胃酸が減り、タンパク質の消化吸収が低下してしまいます。

また、胃酸はpH1~2の強酸で、食べ物と一緒に取り込まれた細菌やウイルスを殺菌解毒します。胃酸を抑えると細菌やウイルスが腸まで届きやすく、おなかが張ったりガスがよく出るといった小腸内の細菌異常繁殖の一因となります。

胃潰瘍、逆流性食道炎でプロトンポンプ阻害薬が処方されたり、市販の胃酸分泌抑制薬を服用することがあると思います。

日本人はもともと胃酸分泌が少ない民族、胃酸を長期に抑えると、タンパク質代謝の妨げや腸内細菌の乱れにつながっているかもしれません。