オゾン療法について

最近オゾン療法ご希望の方が増えてきました。健康増進目的です。
体に優しい治療なのですが、日本ではなぜか流行っていません。
先日、中国の方が、以前母が祖国でやってもらっていたので、と来られました。

オゾン療法を簡単に説明します。MAHと呼ばれる方法です。
まず血液を100ml脱血します。次にオゾンガス適量と混ぜ合わせます。しばらく撹拌したのち再び体内にオゾンと混ざった血液を戻します。これで完了です。

なぜこんなことが健康増進になるのか?そこがオゾン療法の不思議なところです。
以前お話ししましたようにオゾンが酸素に変わるだけでしたら酸素を吸っているのと変わりありません。しかしオゾンは血液中の脂質とよく反応するのです。

20歳と70歳の違いはミトコンドリアの酸素利用率の低下(NAD減少)なのです。
ミトコンドリアの電子伝達系で、オゾン化物+NADH=H2O+NAD+O2、という反応が起きます。すなわちオゾンはNAD/NADH比を上昇させる、これが最も重要です。

次にオゾンは細胞に適度な酸化ストレスを与える、という点です。
細胞が適応可能な酸化ストレスを与えられると、その後より強いストレスが加わっても対応できるようになる。これをホルミシス効果と呼びます。

少し詳しく説明しますとまず血液と反応することにより短寿命の活性酸素、過酸化水素を発生させ緩やかに酸化を起こします。
白血球に対してはNFkB活性化を介してサイトカインなどの炎症メディエーターの発現を促進します。赤血球に対しては解糖系亢進、G6PDH活性上昇、ATPの増加、2,3DPGの増加を介して虚血組織の血流改善、O2供給促進、代謝改善を行います。血小板に対してはPDGF、TGF-β、EGFなどの成長因子の放出を行い創傷治癒の方向に働きます。
長寿命のセカンドメッセンジャー4HNEその他の脂質酸化物は全身を循環しグルタチオン合成系活性化、抗酸化酵素誘導やNO産生亢進させます。
これらが全身を循環し抗炎症作用・抗酸化作用増強・免疫系活性化・血液循環の改善を促す、これがオゾン療法の不思議なところです。

オゾン療法のおすすめは毎日でもよいのですが、週1回を数回、その後は3~4週に1回程度でよいと思います。

血液をオゾンと混ぜ合わせるMAHの他にオゾンガスを直腸内に注入する方法もよく用いられています。また別の機会に。