歯周病の話
あくまでも歯科領域なのですが・・・
ある歯科医がお話されていました。口の中を見ればその人のこれまでの人生がわかる、と。
最近になってやっとその意味がわかってきました。
口の中を健康に保つことはあらゆる病気に対して有効です。
歯磨きしないで放置しておくとやがて虫歯に、歯茎に炎症が波及すると歯周病になります。「歯」なんて悪くなれば抜いてインプラントにでもすればいいじゃないか、って考えていたら大きな間違いです。歯周病がいろいろな生活習慣病の原因となっていることがわかってきました。
歯周病は歯茎と歯の根の部分の歯周ポケットから細菌が侵入し、歯を支えている骨を溶かし最終的には歯が抜けてしまう病気です。
食べ物のカスの塊には無数の細菌が繁殖していて、歯と歯の間、歯と歯茎の間に生息しています。歯茎に大きく開いた歯周ポケット付近の血管から全身にそれらの菌や菌体から出た毒素が断続的にばらまかれています。そして体のあちこちで炎症を引き起こしているのです。永久歯28本すべての周囲にこのような状況があるとすれば想像するだけで恐ろしいですね。
人間の体には免疫力、抗炎症作用がありますから少々菌がばらまかれていてもある程度対処できます。ところが体調不良で免疫力が落ちると一気に菌の力が勝ってきて全身に火事が起きてしまいます。
心臓病で厄介な感染性心内膜炎は血液中の細菌が心臓の弁に感染巣を形成しておこるものです。高い頻度で口腔内の細菌は検出されます。また歯茎の慢性炎症は炎症性サイトカインを惹起し冠動脈内で動脈硬化を進展させ、プラーク破裂の原因にもなるといわれています。
心筋梗塞患者の血栓吸引物からは口腔内にみられる細菌のDNAが高頻度で検出されるようです。血圧正常、コレステロール正常、糖尿病なし、タバコなし、でリスクのないような人が心筋梗塞になるのは実は口の中が原因であることもあるのです。
歯肉の健康を守るには全身の健康増進と同様に食事、睡眠、運動、ビタミン・ミネラルが必要です。ストレスが加わって副腎からホルモンが出っぱなしの状況では口の中の健康が追い付かず歯茎に変化が出てくるようです。歯磨きして歯茎から出血するようだと危険なサインです。
口の中は全身の健康状態を映し出す鏡のような役割をしているのです。