マグネシウムは足りてますか?
マグネシウムのお話です。以下の症状をチェックしてみてください。
足がつる、目の周りがピクピクする、首・肩こり、片頭痛、血圧高値、動悸、眠りが浅い、疲れやすい、やる気が出ない、など。
これらの症状はマグネシウム不足でも起こります。もちろんそれだけではないですが。
金属のマグネシウムは鉄の1/4と軽量で、しかも鉄より剛性が強く、工業利用で広く用いられています。
今回お話しするマグネシウムは人体の中のマグネシウムで、必須ミネラルのひとつで体内に20~30g存在しています。6割が骨や歯に存在し、残りは筋肉・脳・神経に存在しています。細胞のあらゆる反応の起爆剤として非常に重要なミネラルです。
マグネシウムの働きとして、まずはエネルギー産生に重要です。細胞の中のミトコンドリアでATPが作られエネルギーになるのですが、その中での様々な反応にマグネシウムは補因子として働きます。マグネシウムが不足すると各種反応の歯車が回らなくなり効率的にエネルギー産生ができません。
マグネシウム不足だとエネルギーが有効に作られず、疲れやすい、しんどい、やる気が出ないのです。
また細胞の各種ミネラル調整をする役割があります。ナトリウム・カルシウム・カリウム・リン、これらの細胞内外への移動を調整します。例えばマグネシウムが不足すると細胞内からカルシウムが引き出せなくなり蓄積し石灰化を起こします。
筋肉にも重要で、カルシウムで筋肉収縮を引き起こし、マグネシウムで筋肉を弛緩させます。横紋筋・平滑筋の弛緩に必要なので、マグネシウムが不足すると足がつる、筋肉がピクピクする、さらには血管平滑筋の弛緩が遅延し狭心症(冠攣縮性狭心症)にも悪いのです。マグネシウムは筋弛緩だけではなく抗炎症にも働きますので片頭痛にも効果があります。
睡眠にも必要で、脳の松果体からメラトニンを産生する際にもマグネシウムが必要です。不足すると熟睡できない原因となります。
脳神経では神経細胞間の信号伝達を調整します。マグネシウム不足では神経細胞が過剰に興奮し不安発作や神経症の原因となることがあります。
糖尿病は1970年代から増加しました。ちょうどその頃から雑穀類の摂取が減り、食塩はマグネシウムが無くなりナトリウムだけとなり全体的にマグネシウム摂取が減ったことと相関しています。もちろん脂肪摂取量の増加も関係ありますが。
マグネシウム不足と関係する病気としては、高血圧、不整脈、気管支喘息、片頭痛、腎結石、糖尿病、骨粗鬆症、不眠・不安などです。あれ、普段見るほとんどの病気がマグネシウムと関係するんですね。
最近の研究では、ようやく米国FDAが高血圧に対するマグネシウムの重要性を発表しました。コロナの重症度とマグネシウム摂取は逆相関するそうです。
また土壌中にマグネシウムの含有量が少ない地域の人は虚血性心疾患・不整脈での死亡率が高かったとの報告もあります。
さてマグネシウムの1日の推奨摂取量は男性350~370mg、女性270~290mg、妊娠中はさらに80~90mg上乗せ、らしいです。といってもピンきませんね。
困ったことにマグネシウム不足を採血で確かめようとしても、私たちの体は血液中のマグネシウム濃度を一定に保とうとするので不足していても採血ではわかりません。鉄不足の時のフェリチンのような指標がないのです。オリゴスキャンならわかると思いますが。
マグネシウムは基本口から摂取しますが、雑穀類、玄米、海藻、野菜、キノコ類、あさり、芋などに多く含まれています。精製や加工がおこなわれるとマグネシウムは喪失してしまします。
マグネシウムを摂りすぎても腎臓が大丈夫であれば過剰となることはありません。しっかり摂ってください。
ただし普通に摂っていて不足するのが問題で、今の食事では無理なんです。
そんな方にはサプリメントがおすすめです。食品のにがりもマグネシウムが豊富で良いのですが吸収率が良くないと体内に有効に入っていきません。便秘の薬はマグネシウム製剤なのでこれで良いだろうと思っても、体には吸収しませんのでご注意を。最近リポソーム化したマグネシウムが発売されており体内への吸収率はよいです。またマグネシウムバーム(塗布)も足に塗ることで足のつりを和らげてくれます。
先ほどマグネシウムと関係する病気を羅列しました。高血圧、不整脈、気管支喘息、片頭痛、腎結石、糖尿病、骨粗鬆症、不眠・不安。
医療機関に行くと、高血圧は降圧剤、不整脈は抗不整脈剤、気管支喘息はステロイド、片頭痛はトリプタン製剤、腎結石は痛み止め、糖尿病はインクレチン製剤、骨粗鬆症も薬、不眠は睡眠薬、不安は抗精神病薬。当然のようにたくさん薬を処方してくれます。
病気は薬で治す、それでも良いのでしょうが、もっと根底にある栄養素の不足について考えてみてはいかがでしょうか。