少子化
二十歳の皆様、ご両親様おめでとうございます。昨年度のデータでは、117万人が二十歳の集い(旧成人式)の対象になりました。今年はもう少し減少しそうです。(なお今年の18歳の新成人は106万人のようです)
本日はあちこちで艶やかな振り袖姿の方をお見かけし、大変微笑ましい気持ちになりました。
さて昨年度2023年の出生数は72万6000人と予想されています。もちろん統計開始後最も少ない数字です。
当たり前ですが、この子たちが新成人になる時にはこの数より多くなることはありません。
1950年あたりからの出生数と合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む平均の子供の数)の資料です。
第1次ベビーブームと第2次ベビーブームが25年離れています。とすればその25~30年後の2000年から2003年頃に第3次ベビーブームが起きていたはずです。ところが何も起きませんでした。
なぜこれほど出生数が減ったのか?これに関しては調べれば溢れるほどの情報があります。ご興味のある方はググってください。
次に、出生動向基本調査には完結出生児数という指標があります。これは結婚持続期間(15 ~ 19年)夫婦の平均出生子ども数であり、夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされています。さすがに昔と比べると徐々に生まれる子供の数は減っていますが、2021年においても既婚女性は平均2人の子供を産んでいるのです。
ただしこれはあくまでも平均の話です。共働きの40代夫婦は一人っ子が多い一方でミニバンから4人子供が降りてくることもあります。
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第 16 回出生動向基本調査」(2021 年推計)
では何が原因か?子供を産むお母さんの数が減っているのです。1985年と2015年を比較すると子供を産んだ母親数が半減しています。これを少子化ではなく少母化という研究者もいるようです。
厚生労働省の人口動態調査によると、2022年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.7歳となっています。1980年は女性25.5歳、今年二十歳の集いの子たちが生まれた2003年には女性の初婚年齢は27.6歳でした。年齢が上がれば妊娠率も低下してきます。平均初婚率があがってきているものの、完結出生児数はまだ2弱をキープできているのはまだよいほうです。
結局、男女ともに結婚しなくなったことが少子化の原因となっています。1970年には年間100万組が結婚していましたが、2003年には74万組、2023年は46万組となりそうです。
なぜ結婚しなくなったのか?よく言われているのは若者の低所得化です。第1次、第2次ベビーブームの時はともに高度成長期で徐々に賃金が増えていく傾向にありました。この30年間賃金は増えてないか微減です。でもそうではない調査もありました。
ある研究所の調査結果によると、未婚者に関しては、女性が男性に現実を度外視した収入要求をしている。その結果一部の男性が取り合いとなり女性にとって競争率が高い。一方収入の低い男性は最初からターゲットにされていない。競争に敗れた女性は徐々に歳をとり婚期を逃し叶わぬ夢へ導かれる。結婚のハードルとしてのお金の問題は男性が解決すべき、と男性に押し付ける傾向にある。らしいです。
一方既婚者に関しては、常識的な収入水準でそれなりに夫婦ともに満足し生活できている、と回答し日々の暮らしも成り立っている、らしいです。結婚する前とした後では考え方が異なりどうやら所得が問題ではなさそうです。
女性がキャリアを積んで社会進出することと、結婚しないできない、だから子供がいない、は別問題です。
サンプル次第でどうにでもなるデータですが、専業主婦世帯で最も多いのは一人っ子家庭で、一方、共働き世帯では2人兄弟家庭が最も多くなります。また、子ども3人以上の多子世帯も共働き世帯の方が高い割合となります。ただし収入や学歴その他を細かく分類すると違ったデータになるようですが。
女性が大学卒業し就職して仕事が面白くなる3~4年後には25~26歳となります。余裕をもって子供を産むためにはその時点で結婚しなければなりません。女の子が仮に2浪して医学部を卒業して初期研修を終えればその時点で28歳、すでに遅くなります。昔と比べて医学が進歩しても、生殖補助療法が進歩しても、第一子はできるだけ早いうちに産んでおいたほうが良いのです。男女ともに就職して少し仕事を覚えたら、職場近くにいる人同士で結婚してはどうでしょう。お互い似たような立場、教育、境遇、収入のはずです。俺らの時はこうだった、と言うような上司は無視してください。せっかく近くにいてくれるターゲットを探すことができずに、広範囲から見つけるのは至難の業です。偏見だらけですみません。
2023年にはじめて80万人を割った出生率は国の推計より11年早まっていたようです。日本の少子高齢化はずいぶん前からわかっていますが、そのスピードがさらに速まったようです。老人だらけで子供がいない国は衰退します。少子化対策は何が決め手になるのかはわかりません。どこの自治体も子育て支援を打ち出していますが、その前段階である結婚支援が必要なのでは、と思っています。