足のむくみ

足のむくみが気になって受診される方は意外と多いです。

片足だけが腫れていてやや赤黒い、ふくらはぎが硬い、歩くとひきつるような感じがする。
両足がむくんでいて1週間で体重が3kg増えた。

このようなむくみは要注意です。それ以外のむくみは、まあ大丈夫でしょう。というといい加減かも知れませんが。足のむくみの原因は教科書的には心不全、ネフローゼ、肝硬変、甲状腺機能低下症などこわい病気が書いてありますが他に症状がなく、むくみだけであれば足だけの循環障害が原因で全身は問題ないことがほとんどです。

むくみとは皮膚の下に余分な水分が溜まった状態です。人間の体は70%が水分で、細胞外(細胞の外)にある水は常に毛細血管やリンパ管を介してむくまないようにバランスをとっています。重力で水は下に行きますが、通常は立っていても足を動かすことによりふくらはぎの筋肉がポンプとなり、リンパ管も働いて足はむくまないようにできています。ところが一日中足を下にして体を動かさない、あるいは下半身を締め付けていると、当然水は下に溜まりむくんでくるのです。多くは風呂に入って体を温めて夜寝ることで翌朝には戻っていることがほとんどです。

塩分の多いものを摂りすぎると水を溜め込むのでむくみがひどくなる傾向になります。逆にナトリウム(塩)ではなくカリウムを多めに摂るとナトリウムを排泄する方向に傾きむくみは減ります。カリウムは生野菜、果物に多く含まれます。体が冷えていると毛細血管の流れが悪くなりむくむ方向に傾きます。風呂に入って足をしっかり温めるとよいのです。

放っておいてはいけないむくみです。最初に書いたように片方の足だけがむくんで色が悪い、ふくらはぎが硬くて歩くと痛い。このようなむくみは深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の疑いがあります。通常は寝たきりの高齢者、足の外傷、足の手術後安静、のような場合に多いのです。健常者でも足を動かさず同じ姿勢でいる、脱水気味、といった条件下で血液凝固能亢進、静脈壁異常、血液うっ滞が重なり血栓ができるのです。ふくらはぎ(深部静脈)に血栓ができると肺に飛んで肺塞栓という恐ろしい病気につながります。一般的には中高年に多いですがピル内服や喫煙でリスクは高まります。
このようなむくみは速やかに病院を受診してください。

もう一つ。両足がむくんできて、しかも体重が急に増えてきたときは要注意です。急に太ることはありません。この場合は心臓、腎臓、肝臓など重要臓器の機能が低下し全身の水分量が増えたため下にある足にむくみがでてきているのです。若年者にも時々起こる病気では、ネフローゼ症候群といって、血液中の蛋白が腎臓から出てしまいアルブミンが低下し全身がむくむ病気があります。また心臓の病気で息切れはそれほど伴わず、徐々にむくんでくる病気もあります。これらの場合は至急病院を受診してください。

高齢者のむくみは原因がさまざまですのでまた別の機会に。

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