心臓カテーテル治療

狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患(心臓の表面の冠動脈の動脈硬化で起こる病気)の治療には心臓カテーテル治療が行われます。以前は血管の狭窄部を風船で広げるだけでしたが最近はステントを留置するのが一般的です。
急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症など急速に冠動脈の血流が妨げられる病態)では心臓カテーテル治療は一刻を争います。そうではなく胸痛などの自覚症状が軽く安定している狭心症に対してどこまで心臓カテーテル治療を行うか、という問題があります。

最近の新聞に次のような記事が掲載されていまいた。
心筋梗塞(こうそく)や狭心症の治療では、心臓に血液を送る冠動脈の狭くなった部分を広げる方法が普及しているが、血管が狭くなっただけなら必ずしもすぐに行う必要はない。厚生労働省は今春、緊急性のない場合には血管の狭窄(きょうさく)部の先の血流を調べる検査を行うことなどを診療報酬の請求要件に加えた。

つまり、冠動脈CTあるいは冠動脈造影検査を行って冠動脈がやや細いからステント治療をする、ではなく細い部位が実際に心臓に悪影響を与えているかをしっかり判定(負荷心筋シンチやFFRなど)したうえでステント治療をしてくださいよ、という要件です。待機的PCI(経皮的冠動脈形成術)とは緊急に行う治療ではなく予定をたてて行う心臓カテーテル治療のことです。
2016年は2007年と比較して待機的なPCIが1.4倍に増えてますが、治療が必要な人が10年で1.4倍に増えた? 本当に冠動脈ステントの留置が必要な患者さんに治療をすべきなのです。
ただし冠動脈にきつい狭窄があっても何年も進行せずに症状もない人もいますし、中くらいの狭窄が半年後には詰まる寸前、といったケースもあるので、検査して今大丈夫だからステントは不要です、とも言えないのです。このあたりの議論は尽きないですね。
そうそう虫歯だらけで放っている人は急性心筋梗塞が多いですよ。この話は別の機会に。