コロナワクチン

日本でも医療従事者、次いで高齢者に対するコロナワクチン接種が本格的に始まりました。日本でのワクチンはまずはファイザー社製のBNT162b2というワクチンから始まっています。
今までのワクチンとは全く製法が異なり、接種したグループの有効率は95%という素晴らしいワクチンです。ご興味のある方は論文をご参照くだささい。10.1056/NEJMoa2034577

このワクチンは世界初のメッセンジャーRNAワクチンです。新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに、新型コロナウイルスが細胞に感染するためのトゲの部分を作ります。そしてこれを人間の免疫細胞が認識し、トゲの部分をブロックする抗体を自ら作ります。その結果、実際にコロナウイルスが侵入してもウイルスが人の細胞に感染できなくなる、という仕組みです。従来のような弱毒化したものを接種するワクチンとは根本的に異なります。

この試験の結果です。21,720名の参加者にBNT162b2(実際のワクチン)を投与し、21,728名にプラセボ(偽薬)を投与しました。両群とも21日間隔で2回の注射を受けました。
ワクチン群では8名、プラセボ群では162名のコロナ患者がみられました。
プラセボ群がワクチン群の約20倍の発症でした。簡単に言うとワクチン接種で発症が1/20(有効率95%)になったということです。
有害事象は局所の痛み、腫れ、全身倦怠感、頭痛、発熱のみであった、とのことです。
ただし安全性モニタリングを今後2年間継続するようです。

日本での医療従事者対象の厚生労働省の健康状況調査によると、ワクチン2回目接種後、頭痛50%、全身倦怠感70%、発熱35%、いずれも数日で軽快、とされています。
結構きつそうなワクチンですね。もし人口の殆どがコロナにかかるならワクチン接種は必須でしょうけど。

アストラゼネカ社製のワクチンはまだ日本では接種されていませんが、ファイザー社製のものとは異なり、コロナウイルスのスパイクタンパク質抗原をコードする組換えアデノウイルスベクターを用いたワクチンです。こちらも有効率は高いです。
ただし血栓症での死亡事例の報告がありました。詳しくは論文をご参照ください。
(アストラゼネカ社製のワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)接種後の血栓性血小板減少について10.1056/NEJMoa210484)
ヘパリン誘発性血小板減少症という疾患に似た現象を引き起こし、重症の血小板減少、出血傾向と頭蓋内血管、肺動脈、腹腔動脈などに血栓を形成し、死亡した症例がまとめて報告されています。

世界規模で新型コロナワクチン接種が進んでいます。まだまだ始まったばかりで、短期的には効果、有害事象ともに許容範囲だと思いますが、長期的な効果や有害事象は今後徐々に明らかになっていくのでしょう。

日本は米国と比べて幸い重症化率や死亡率は1/20~1/100と低いです。疫学的にはBCG接種率とコロナ患者数、重症化との関連が示唆されています。ただしBCGが直接コロナの予防効果を示した研究はありません。
日本では若者はまず重症化しない、50歳以下の重症化は極めて少ない、しかし高齢者は重症化や死亡することもあります。
さて、この国で全国民にワクチンを接種する必要はあるのでしょうか。
ワクチンを接種するかしないかは、あくまでもご自身で判断してください。色々な医師の意見を聞くのも必要だと思います。