NADと私たち

NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という言葉を聞いたことはありますか。昔、高校の生物の先生が最も重要な物質であるということを強調されていました。そのころは聞き流していましたが、最近やっとわかってきました。

NADはすべての生命体においてエネルギー産生をする際に必須な物質です。そして加齢とともに減少します。

NADは私たちの体ではビタミンB3を材料としてNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)からNADに変換されます。NADはエネルギーの通貨としての役割だけではなく、NADが加齢とともに減少することで、臓器や組織の機能低下、また老化関連疾患の病因を引き起こしていることもわかってきています。

私たちは食べたものや酸素を利用してミトコンドリアでエネルギー(ATP)を産生します。NADはATPを作るために必須の補酵素であり、NADがなくなると生命体は死にます。
加齢によりNADは減少し、酸素利用率(NAD/NADH比)が低下してきます。加齢とともにエネルギー不足になってくるのです。

NADにはもうひとつ重要な役割があります。老化や寿命を制御するとされるサーチュインという物質がありますが、サーチュインの活性化にNADが必要になってくるのです。ヒトはサーチュイン遺伝子を7種類もっておりNADはすべてを活性化するといわれています。
サーチュインの役割としては①エピゲノムのコントロール ②エネルギー代謝のコントロール ③細胞分裂のコントロール ④時計遺伝子の活性制御 などです。

加齢とともに減少するNADを少しでも増やす方法です。絶食する(エネルギー産生の要求が高まり身体はNADを作り始める)、運動する(運動によりNAMPTが上昇しNADが増える)で多少は増えますが・・・・。食事ではNAD前駆体のNMNはブロッコリーや枝豆などにも含まれていますがごく微量です。

最も有効なのは、NADの直接的な前駆体であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を摂取することが必要になってきます。

NADの前駆体のNMNをマウスに1年間投与することにより、老化に伴って起きるさまざまな機能低下が抑えられていることが報告されました。Cell Metab. 2016 Dec 13; 24(6)
NMNはNADの最も直接的な前駆体と考えられ臨床研究も進んでいます。
55-75歳の糖尿病と心血管疾患の女性を対象としたNMNの効果
65歳以上の糖尿病患者の男性を対象としたNMNの身体的フレイルへの効果 など

このような超一流の研究結果にあやかりたいと思いNMNを探していたのですが、海外産ではなく国産の良さそうなものを見つけ、毎日摂取しています。ちなみに米国・中国ではNMNは大流行です。日本でも最近注目されています。

それなりの量を摂取して自分で人体実験してますが、これが凄い。
短期的な体感としては、疲れ方が全く違う、朝の目覚め抜群、日々のやる気が出てきた、目がよく見える、睡眠の質向上、など。長期的な変化はまたそのうちお話ししますね。
ご興味のある方はクリニックで診察時にお聞きください。