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三上内科クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療に力を入れています。今回は、当クリニック院長に睡眠時無呼吸症候群についての専門的な知見と治療へのこだわりについてお話を伺いました。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療に力を入れるようになったきっかけを教えてください

もともとは病院勤務時代に心不全患者に対する陽圧呼吸療法の効果を実感したことがきっかけでした。
そこから、一般の方でも昼間の眠気やいびきで悩んでいる人が多いことに気づき、この治療法を広げていきました。睡眠時無呼吸症候群の治療は副作用がほとんどなく、すぐに効果を実感できるのも特徴です。当初から予想以上に多くの患者さんが来院されて驚いています。

当クリニックの睡眠時無呼吸症候群治療の特徴は何ですか?

当クリニックのSAS治療には、大きく3つの特徴があります。
1つ目は、スピーディーな診断と治療です
初診時に簡単な検査を行い、翌日には結果が出ます。ひどい無呼吸が確認された場合は、その翌日からすぐに治療を開始できる体制を整えています。
2つ目は、丁寧な説明です
無呼吸のメカニズムから治療方法、CPAPマスクの種類の違いまで、画像や実物を用いて詳しく説明します。クリニックによっては簡単な説明だけで終わるところもありますが、当クリニックでは患者さんが納得した上で治療を始められるよう心がけています。実際にマスクを手に取って見ていただき、装着感や違いを体験していただくこともあります。
3つ目は、循環器専門医が診るメリットです
睡眠時無呼吸は高血圧や心臓病と密接に関連しています。当クリニックでは、無呼吸に合併する循環器疾患についても専門的な知識で総合的に診療できるのが強みです。

どのような患者さんが多く来院されますか?

年齢層としては、20代から60代の働き盛りの方が多いですね。地域内の方はもちろん、遠方からも多くの患者さんが来院されます。
来院のきっかけは大きく分けて二つあります。ひとつは、ご家族からの指摘です。「いびきがうるさい」「呼吸が止まっているように見える」といった理由で受診される方が多いです。患者さんご本人は気づいていないことが多いですね。もうひとつは、「昼間異常に眠い」「車の運転中にウトウトする」などの悩みがある場合です。これらの症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の治療について教えてください

治療の中心となるのはCPAP(シーパップ)療法です。これは睡眠中に専用のマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を確保する治療法です。
治療を始めると、多くの患者さんが「翌朝すっきり目覚めた」「こんなに爽快な目覚めは久しぶり」と驚かれます。マスクの装着に最初は抵抗がある方もいますが、実際に使用してみると効果を実感して継続される方がほとんどです。
CPAP療法は基本的には継続的な治療になります。「治る病気ではなく、コントロールする病気」と考えてください。ただし、大幅な減量に成功した場合など、状態が改善して中止できるケースもあります。

無呼吸症候群の治療目的は年齢によって異なるとうかがいましたが?

そのとおりです。治療の主な目的は年齢によって異なります。40代の働き盛りの方は「日中のパフォーマンスを上げる」ことが主な目的になります。昼間の眠気を解消し、仕事や日常生活の質を向上させることができます。
一方、60〜80代の高齢の方は「心臓を守る」ことが主な目的になります。睡眠時無呼吸があると、夜間に酸素濃度が下がり、心臓に負担がかかります。特に心不全や不整脈のリスクがある方にとって、CPAPによる治療は心臓保護の効果が期待できます。
このように、年齢や状況に合わせた治療目的の説明をしています。
睡眠時無呼吸症候群はなぜ危険なのでしょうか?
睡眠時無呼吸症候群は、単なるいびきの問題ではありません。睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が低下します。これが繰り返されると、さまざまな健康リスクが高まります。
特に危険なのは循環器系への影響です。無呼吸により酸素濃度が下がると、心臓への負担が増大し、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。
また、睡眠の質が低下することで日中の強い眠気を引き起こし、集中力低下や疲労感の原因になります。これが自動車事故や仕事上のミスなどにつながることもあるのです。
さらに、無呼吸症候群は糖尿病や肥満との関連も指摘されています。このように、さまざまな健康問題と関係する重要な疾患なのです。

睡眠に問題がある人へのアドバイスをお願いします

「人生の1/3は睡眠」です。その時間をしっかり有効に使うことが大切です。朝起きた時に爽快感がなければ、何か問題があるかもしれません。そのひとつの可能性として睡眠時無呼吸症候群が考えられます。
ご自身でわかりにくい場合も多いので、ご家族からいびきや呼吸停止を指摘された方、日中の強い眠気がある方は、まずはお早めに相談していただきたいと思います。
また、睡眠の質を高めるためには、睡眠前のスマートフォン使用を控える、カフェインの摂取を夕方以降は避けるなど、睡眠衛生にも気を配ることが大切です。当クリニックでは、無呼吸治療だけでなく、こうした生活指導も含めて総合的なアプローチを行っています。

当クリニックでの診断・治療の流れを教えてください

まず初診時に、症状や生活習慣についての問診を行います。その後、簡単な検査機器を貸し出し、ご自宅で睡眠中のデータを記録していただきます。
翌日に結果を確認し、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、重症度に応じた治療法をご提案します。重度の無呼吸の場合は、早急にCPAP療法を開始することも可能です。
各メーカーからそれぞれ特徴のあるCPAP機器、マスクが出ており、ある程度患者さんの好みに合わせた選択が可能です。使用方法や管理の仕方なども丁寧に説明します。
定期的な通院により、治療効果の確認や機器の調整を行いながら、患者さんに応じた治療を継続していきます。

最後に、睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方へメッセージをお願いします

睡眠の質を向上させることは、
人生の質を向上させることにつながります。
睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を受けることで劇的に生活の質が向上する疾患です。「いびきが大きい」「日中眠い」「疲れが取れない」などの症状でお悩みの方は、まずは相談に来てください。
治療を始めることで、眠りの質が向上し、日中のパフォーマンスが上がるだけでなく、将来的な循環器疾患のリスクも軽減できます。特に40代、50代の方は、今からのケアが将来の健康を大きく左右します。
当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診断から治療まで一貫して対応しており、循環器内科としての専門性を活かした総合的な診療を提供しています。お一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。